DATE : 2006/04/02 (Sun)
「30日でできる! OS 自作入門」(川合秀実著、毎日コミュニケーションズ、3800円)を読みました。
上のリンクから飛べる立ち読みコーナーで中身を見ていただければわかるのですが、語り口が軽妙ですし、とても分かりやすく書かれています。実際、読んでいて詰まることがあまりなく、すらすらと読み進めていくことができました。(あとがきによると、中学生でも読めるように全力を尽くしたそうです)
本の中では、アセンブラと C 言語を使って OS を作っていく過程が記されています。しかし、アセンブラにしても C にしても、解説を読めば分かるようになっているところはさすがです。
また、ハードウェア(CPU やレジスタ、メモリなど)の解説があるのも見逃せません。
さすがにこれで回路が組めるほど深い解説があるわけではありませんが、ハードウェアの上でソフトウェアがどう動作しているのか、ディスプレイにどのように出力しているのか、キーボードからの入力をどのように受け取っているのかということがしっかりと分かるように書かれています。
その流れの中で、C 言語のポインタについても触れられています。C 言語のポインタの理解があやふやになっていた私にとって、理解を固めるには最適な解説でした。
また、なんといっても、グラフィックを使った OS がしだいに出来上がっていくという構成が非常に面白いです。次はどのような機能ができあがるのかといった、ドキドキ感もあります。
本の中では、その都度 OS の機能を作ったり、直したりといったライブ的な作業を繰り返しています。冗長に思える部分もあるかもしれません。しかし、 OS のみならず、ソフトウェアを開発する上での考え方を垣間見ることができるのも一つの魅力でした。
プログラムの抽象化が進む世の中ですが、ハードウェアなしにソフトウェアは動きません。OS というハードウェアに近いソフトウェア開発を通して、ハードウェアの知識やプログラミングの考え方を学ぶには、とてもおすすめの本と言えそうです。
この本を足掛かりとして、ハードウェアや OS の本格的な本を読むのもいいかもしれませんね。