DATE : 2008/11/22 (Sat)
Firefox 拡張で、特定の URL が読み込まれた際に他のページへ飛ばすには、nsIWebProgressListener インタフェースを実装したオブジェクトを作ります。
function MyListener() { } MyListener.prototype = { /* * nsIWebProgressListener の実装 */ QueryInterface : function(aIID) { if (aIID.equals(Components.interfaces.nsIWebProgressListener) || aIID.equals(Components.interfaces.nsISupportsWeakReference) || aIID.equals(Components.interfaces.nsISupports)) { return this; } throw Components.results.NS_NOINSTANCE; }, onStateChange : function(aWebProgress, aRequest, aFlag, aStatus) { }, onLocationChange : function(aProgress, aRequest, aURI) { }, onProgressChange : function(aProgress, aRequest, aCurSelfProgress, aMaxSelfProgress, aCurTotalProgress, aMaxTotalProgress) { }, onStatusChange : function(aWebProgress, aRequest, aStatus, aMessage) { }, onSecurityChange : function(aWebProgress, aRequest, aState) { } }
nsIWebProgressListener インタフェースを実装したオブジェクトは、ページへのリクエストを監視できます。ページへのリクエストが発生すると onStateChange メソッドが呼ばれるので、このメソッド内に、移動したいページの URL へのリクエストを監視するコードを書きます。
onStateChange : function(aWebProgress, aRequest, aFlag, aStatus) { var url = aRequest.name; if (aFlag & Components.interfaces.nsIWebProgressListener.STATE_START) { // url のページへのリクエストが発生した際に到達する } },
リクエストされた URL を取得するには、引数 aRequest の型である nsIRequest の name プロパティを使用します。また、リクエストの開始かどうかは、引数 aFlag のビット列を見ることでわかります。
引数 aRequest の name プロパティの中身が予期していた URL と同じであれば、別のページへ飛ばすようなコードを書きます。ここで、SOURCE_URL は別ページへ飛ばす対象となる URL、DESTINATION_URL は、移動先の URL を表します。
onStateChange : function(aWebProgress, aRequest, aFlag, aStatus) { var url = aRequest.name; if (aFlag & Components.interfaces.nsIWebProgressListener.STATE_START) { if (url == SOURCE_URL) { aWebProgress.DOMWindow.location.replace(DESTINATION_URL); } } },
nsIWebProgress 型である引数 aWebProgress から、現在のページを表示している nsIDOMWindow 型のオブジェクトを取得し、そのページの場所を表す Location オブジェクトを使用して、移動先のページに置き換えます。Location オブジェクトでは、assign メソッドを使用してページを置き換える方法もありますが、上記のコードでは replace メソッドを使用しました。assing メソッドでは置き換えた元のページが履歴に残りますが、replace では残りません。
現在のページの URL は、 nsIDOMWindow 型のオブジェクトから取得した Location オブジェクトを使用しても取得できますが、今回はその方法が使えません。Location オブジェクトの表す URL はすでに読み込みが完了した後のページのものなので、上記のコードで新しくリクエストされた URL を Location オブジェクトから取得しようとしても、現在表示されているページの URL が取得されてしまいます。replace メソッドを使用してページを置き換えると新しいリクエストが発生するので、無限ループになる場合もあります。そのため、リクエストされた URL を使用する際には、必ず引数 aRequest の name プロパティから取得するようにしてください。
(;^ω^)これで長時間つまりました。
あとは、このリスナーオブジェクトを Firefox に登録します。
var myListener = new MyListener(); function load() { gBrowser.addProgressListener( myListener, Components.interfaces.nsIWebProgress.NOTIFY_STATE_DOCUMENT); } function unload() { gBrowser.removeProgressListener(myListener); } window.addEventListener("load", load, false); window.addEventListener("unload", unload, false);
参考文献
- On page load - MDC
- Progress Listeners - MDC
- nsIWebProgressListener - MDC
- nsIWebProgress - MDC
- Interface Reference - nsIRequest
- nsIDOMWindow - MDC
- location - MDC
DATE : 2008/10/19 (Sun)
Hudson では、Java 以外の言語で作られたプロジェクトの継続的インテグレーションを行うことができます。特に、テスト結果のログを JUnit 形式の XML で出力できる場合、テスト結果の管理もできるので便利です。本記事では、JSUnit を用いてユニットテストを行っている JavaScript プロジェクトを Hudson で管理させる方法について記します。JavaScript プロジェクトは、すでに Hudson に登録できている状態だとします。本記事で使用した Hudson のバージョンは 1.255 で、使用したブラウザは Firefox 3.0.3、JSUnit は 2.2alpha11 です。標準の状態では、Firefox 3 で JSUnit は動きません。その場合は、「JSUnit を Firefox 3 で動作させるメモ」を参考にしてください。
本記事では、実行用のコードが main フォルダ、ユニットテスト用のコードが test フォルダに分けて配置されていることを前提にしています。また、JSUnit 本体は test フォルダに収められているとします。
常用している Firefox プロファイルでテストを行う場合
JSUnit の実行に開発専用のプロファイルを用いず、常用しているプロファイルを使用している場合は、JSUnit 付属の build.xml が使用できます。しかし、JSUnit から出力されるログの形式は JSUnit 独自の形式なので、Hudson でテスト結果を管理するには JUnit 形式のものに変換しなければなりません。そこで、Billy Reisinger 氏が作成されたXSLTを使用して、変換を行います。「JSUnit XML to JUnit XML」から「jsunit_to_junit.xsl」をダウンロードして、テスト用フォルダに配置します。
JSUnit Server から standalone_test を実行した後、JSUnit 形式のログファイルを JUnit 形式に変換する Ant スクリプトは次の通りです。なお、以下のスクリプトでテスト環境の設定を行うため、JSUnit 付属の build.xml の設定を行う必要はありません。また、複数のブラウザでユニットテストを行う場合は、JSUnit 付属の build.xml を呼び出す部分のスクリプトを修正してください。hudson.WORKSPACE プロパティは、Hudson から提供される環境変数で、Hudson の上のプロジェクトのワークスペースフォルダを表します。以下の Ant スクリプトでは、ログファイルを test/logs に名前で出力します。この Ant スクリプトは、「Ant の呼び出し」→「高度な設定」→「ビルドファイル」にそのファイルのパスを指定するだけで使えます。
<?xml version="1.0" encoding="utf-8"?> <project name="JSUnitForHudson" default="test" basedir="."> <description> Hudson 上で JSUnit によるユニットテストを行う。 </description> <property environment="hudson"/> <!-- プロジェクトのホームディレクトリ --> <property name="home" location="${hudson.WORKSPACE}/sample"/> <!-- テスト対象のページ --> <property name="testPage" location="${home}/test/testsuite.html"/> <!-- JSUnit の動作するポート番号 --> <property name="jsunitPort" value="8090"/> <!-- Firefox のパス --> <property name="firefox" location="C:\Program Files\Mozilla Firefox\firefox.exe"/> <!-- JSUnit のホームディレクトリ --> <property name="jsunitHome" location="${home}/test/jsunit"/> <!-- ログを出力するディレクトリ --> <property name="logsDirectory" location="${home}/test/logs"/> <!-- JSUnit 形式のログファイルを JUnit 形式のログファイルに変換する XSLT --> <property name="logTransrator" location="${home}/test/jsunit_to_junit.xsl"/> <!-- TestRunner --> <property name="testRunner" location="${jsunitHome}/testRunner.html"/> <!-- JSUnit Server を起動する build.xml --> <property name="buildScript" location="${jsunitHome}/build.xml"/> <target name="test"> <mkdir dir="${logsDirectory}"/> <delete includeemptydirs="true"> <fileset dir="${logsDirectory}" includes="**/*"/> </delete> <makeurl file="${testRunner}" property="testRunnerURL"/> <ant antfile="${buildScript}" dir="${jsunitHome}" target="standalone_test"> <property name="browserFileNames" value="${firefox}"/> <property name="port" value="${jsunitPort}"/> <property name="logsdirectory" location="${logsDirectory}"/> <property name="url" value="${testRunnerURL}?testPage=${testPage}"/> </ant> <xslt basedir="${logsDirectory}" destdir="${logsDirectory}" style="${logTransrator}"> <mapper type="glob" from="JSTEST-*.xml" to="JSTEST-*.junit.xml" /> </xslt> </target> </project>
あとは、「ビルド後の処理」の「JUnitテスト結果の集計」にチェックを入れ、「テスト結果 XML」に出力されるログファイルのパターンを記述すれば完了です。「<ログが出力されるフォルダ>/JSTEST-*.junit.xml」を指定してください。
専用のプロファイルを用いる場合(Windows 向け)
JSUnit 専用のプロファイルを作る
専用のプロファイルを用いる場合は、まず JSUnit 専用のプロファイルを作成することをおすすめします。Firefox 3 の場合、常用以外のプロファイルで起動する場合、プロファイル名以外に「-no-remote」オプションを付けて起動しなければなりません。しかし、すでにそのプロファイルで Firefox 3 が立ち上がっている場合、「-no-remote」オプションを付けると、すでに Firefox 3 が立ち上がっていることを示すメッセージが表示され、新たに起動できません。そのため、テスト実行時のみに起動し、テストが終われば終了できる JSUnit 専用のプロファイルが必要となります。ここでは、そのプロファイル名が「jsunit」であると仮定して話を進めます。
JSUnit でテスト終了時に Firefox を自動的に閉じる設定を行っている場合は、Firefox の再起動時に、前回終了時に読み込んでいたページを復元するか聞かれる場合があります。そのため、「about:config」から次の設定を全て false に設定します。
- browser.sessionstore.resume_from_crash
- browser.sessionstore.enabled
Ant スクリプトから専用のプロファイルの Firefox を起動
JSUnit 付属の build.xml では、コマンドラインオプションを付けて Firefox を起動できません。そこで、バッチファイルを用意し、オプションを付けて Firefox を起動する Ant スクリプトを呼び出すようにします。バッチファイル単体でも起動は可能ですが、起動するコマンドの前に他の文が含まれていると、うまく動作しない場合があるためです。
Ant スクリプトは次のようになります。JSUnit のログを JUnit 形式のログに変換するため、Billy Reisinger 氏が作成されたXSLTを「JSUnit XML to JUnit XML」からダウンロード(jsunit_to_junit.xsl)して、テスト用フォルダに配置しておいてください。
テスト終了時に Firefox を強制終了させている点に注意してください。通常では、ユニットテスト終了時に JSUnit Server が Firefox を終了させるのですが、バッチファイルやスクリプトなどから Firefox を起動した場合は JSUnit Server から終了できません。そこで Ant スクリプトから、テストに使用した Firefox を終了させています。Ant スクリプトからはテストに使用した Firefox のプロセス番号を入手できないので、Firefox のウィンドウのタイトルから、終了する Firefox を特定しています。そのため、テスト以外の用途の Firefox も巻き込まれて終了されてしまう場合があります。これを防ぐ場合は、closeFirefoxAfterTestRuns プロパティを false に設定してください。ただし、テストに使用した Firefox も手動で閉じる必要があります。
複数のブラウザでユニットテストを行う場合は、Ant スクリプト中の、JSUnit 付属の build.xml を呼び出す部分を修正してください。hudson.WORKSPACE プロパティは、Hudson から提供される環境変数で、Hudson の上のプロジェクトのワークスペースフォルダを表します。以下の Ant スクリプトでは、ログファイルを test/logs に名前で出力します。この Ant スクリプトは、「Ant の呼び出し」→「高度な設定」→「ビルドファイル」にそのファイルのパスを指定するだけで使えます。
<?xml version="1.0" encoding="utf-8"?> <project name="JSUnitForHudson" default="test" basedir="."> <description> Hudson 上で JSUnit によるユニットテストを行う。 </description> <property environment="hudson"/> <!-- プロジェクトのホームディレクトリ --> <property name="home" location="${hudson.WORKSPACE}/trunk"/> <!-- テスト対象のページ --> <property name="testSuite" location="${home}/test/TestSuite.html"/> <!-- JSUnit の動作するポート番号 --> <property name="jsunitPort" value="9091"/> <!-- Firefox を起動するバッチファイル --> <property name="firefox" location="${home}/test/hudson_firefox.bat"/> <!-- JSUnit のホームディレクトリ --> <property name="jsunitHome" location="${home}/test/jsunit"/> <!-- ログを出力するディレクトリ --> <property name="logsDirectory" location="${home}/test/logs"/> <!-- JSUnit 形式のログファイルを JUnit 形式のログファイルに変換する XSLT --> <property name="logTransrator" location="${home}/test/jsunit_to_junit.xsl"/> <!-- テスト終了後に Firefox を終了するかどうか。 --> <!-- ウィンドウのタイトルが ${closingFirefoxTitle} のみのものを終了する --> <property name="closeFirefoxAfterTestRuns" value="true"/> <!-- TestRunner --> <property name="testRunner" location="${jsunitHome}/testRunner.html"/> <!-- JSUnit Server を起動する build.xml --> <property name="buildScript" location="${jsunitHome}/build.xml"/> <!-- 終了させる Firefox の、ウィンドウのタイトル --> <property name="closingFirefoxTitle" value="Mozilla Firefox"/> <target name="test"> <mkdir dir="${logsDirectory}"/> <delete includeemptydirs="true"> <fileset dir="${logsDirectory}" includes="**/*"/> </delete> <makeurl file="${testRunner}" property="testRunnerURL"/> <ant antfile="${buildScript}" dir="${jsunitHome}" target="standalone_test"> <property name="browserFileNames" value="${firefox}"/> <property name="port" value="${jsunitPort}"/> <property name="logsdirectory" location="${logsDirectory}"/> <property name="url" value="${testRunnerURL}"/> </ant> <xslt basedir="${logsDirectory}" destdir="${logsDirectory}" style="${logTransrator}"> <mapper type="glob" from="JSTEST-*.xml" to="JSTEST-*.junit.xml" /> </xslt> <antcall target="_closeFirefox"/> </target> <target name="_closeFirefox" if="closeFirefoxAfterTestRuns"> <exec executable="TASKKILL" osfamily="Windows"> <arg value="/IM"/> <arg value="firefox.exe"/> <arg value="/FI"/> <arg value="WINDOWTITLE eq ${closingFirefoxTitle}"/> <arg value="/F"/> </exec> </target> </project>
Firefox を起動する Ant スクリプトを、呼び出すバッチファイル(hudson_firefox.bat)は次の通りです。Firefox を起動する Ant スクリプトの名前は hudson_firefox.xml としています。
ant -f hudson_firefox.xml REM Firefox を起動するためのバッチファイル jsunit\build.xml から呼ばれる。 REM 他の文が含まれているとそこで動作が止まってしまうため、本バッチファイルでは REM ant スクリプトを起動する。 REM 本コメントが ant の実行より上にあると、ant が実行されない場合がある。
Firefox を起動する Ant スクリプト(hudson_firefox.xml)は、次の通りです。各プロパティは、各自の環境に合わせて設定してください。
TestRunner の URL を Ant スクリプト内で生成している点に注意してください。JUnit Server で TestRunner の URL が生成されて、Firefox を起動するバッチファイルにその URL に渡されるのが本来の流れなのですが、「&」や「=」はバッチファイルの引数として使用できません。そのため、Ant スクリプトで URL を生成しています。
<?xml version="1.0" encoding="utf-8"?> <project name="launchFirefox" default="test" basedir="."> <description> Firefox を専用のプロファイルで起動してユニットテストを行う。 hudson_firefox.bat から呼び出される。 </description> <import file="build.xml"/> <!-- Firefox のパス --> <property name="firefox_exe" location="C:\Program Files\Mozilla Firefox\firefox.exe"/> <!-- テストを実行する Firefox プロファイル --> <property name="profileName" value="jsunit"/> <target name="test"> <makeurl file="${testRunner}" property="testRunnerURL"/> <exec executable="${firefox_exe}"> <arg value="-no-remote"/> <arg value="-P"/> <arg value="${profileName}"/> <arg value="${testRunnerURL}?testPage=${testSuite}&autoRun=true&submitResults=localhost:${jsunitPort}/jsunit/acceptor"/> </exec> </target> </project>
あとは、「ビルド後の処理」の「JUnitテスト結果の集計」にチェックを入れ、「テスト結果 XML」に出力されるログファイルのパターンを記述すれば完了です。「<ログが出力されるフォルダ>/JSTEST-*.junit.xml」を指定してください。
参考文献
DATE : 2008/10/13 (Mon)
はじめに
JavaScript 向けテスティングフレームワーク JSUnit は、現在のバージョン(2.2alpha11)では Firefox 3 上で動作しない場合があります。Firefox 3 では、ローカルにあるファイルを Firefox に読み込んだ際に、そのファイルからアクセスできるディレクトリに制限が設けられています。標準では、読み込んだファイルと同じディレクトリかそのサブディレクトリしかアクセスすることができません。テストを起動する TestRunner とテスト用のページとが別の階層のディレクトリにあると、TestRunner からテスト用のページにアクセスできなくなってしまいます。
Firefox 3 の「security.fileuri.strict_origin_policy」設定を false に変える
その制限を解除するために「security.fileuri.strict_origin_policy」設定を変更します。この設定は読み込まれたローカルのファイルからアクセスできるディレクトリの制限を設定するもので、標準では同じディレクトリかそのサブディレクトリ(true)に設定されています。そこで、「about:config」を開き、「security.fileuri.strict_origin_policy」設定を false に設定します。こうすることで、ローカルのファイルからアクセスできるディレクトリに制限がなくなります。この結果、TestRunner とテスト用のページとが別の階層のディレクトリにあっても JSUnit を使用できるようになります。
ただし、この設定の変更は Firefox 3 のセキュリティ設定を緩めてしまうことになります。余裕があれば、開発作業用のプロファイルを作成することをおすすめします。
テスト対象ページを testPage パラメータで指定する
TestRunner にあるファイルを選択するボタンも、Firefox 3 上ではうまく動作しません。その場合、TestRunner の URL の後に、「?testPage=C:/abcd/efg.html」(「/」は「\」でもかまいません)という風に testPage パラメータを付けて、そこでテストページ、またはテストスイートのページを指定します。
注意
なお、JSUnit はテストメソッドの間違いがあれば指摘してくれますが、テストページの HTML の記述が間違えていた場合やテストの構成に失敗していた場合には何も警告を出しません。上記の操作を行った上でも何も変化がない場合は、テストコードを HTML 部分も含めてチェックしてください。
(;^ω^)始めの問題が解決した後に、テストコードの構成の間違いでまたしばらく時間を費やしてしまいました。
参考文献
DATE : 2006/09/04 (Mon)
次のようなクラスを作って文法チェッカにかけてみたところ、末尾に「;」がないと怒られてしまいました。
function Person(name) { this._name = name; } Person.prototype = { getName : function() { return this._name; } }
正しくは、次の通りです。
function Person(name) { this._name = name; } Person.prototype = { getName : function() { return this._name; } };
よく考えてみると、 prototype プロパティに設定する文全体
Person.prototype = { getName : function() { return this._name; } };
は、何かの宣言文ではなく、ただ単に Person オブジェクトの prototype プロパティに getName という関数を設定しているだけの式でしかありません。そのため、末尾のセミコロンがないと文法チェッカに怒られる――というわけです。
ちなみに、セミコロンのない場合でも、Firefox では動作します(ECMAScript には「自動セミコロン挿入規則」という仕様があって、セミコロンがない場合でも動作してくれます)が、IE では動作しませんでした。私はいつも Firefox を使って JavaScript のテストを実行しているので、見事にハマってしまいました。
参考ページ
DATE : 2006/08/09 (Wed)
前回の記事では、メソッド内の this キーワードが指すオブジェクト指定する方法を書きました。
今回は、イベントリスナ(ユーザが特定の要素に対して、クリックなどの動作をした際に実行されるメソッド)での this キーワードが指すオブジェクトを指定します。
例として、指定した DOMElement での「 Ctrl キーを押しながらクリックした回数」を数えるオブジェクトを示します。
function ClickCounter(element) {
this.times = 0;
element.onclick = this._count.bindAsEventListener(this);
}
ClickCounter.prototype._count = function(e) {
if (e.ctrlKey) {
this.times++;
}
}
前回とは違い、今回は Prototype.js の bindAsEventListener メソッドを使用しています。bind メソッドと違い、bindAsEventListner メソッドは、イベントリスナ用に最適化されています。
というのも、実は Internet Explorer と Firefox とでは、発生したイベントを表すオブジェクト(イベントオブジェクト)を取得する方法が異なります。
Firefox では、上記の _count メソッドのように、引数にイベントオブジェクトが渡されます。しかし、Internet Explorer では、event オブジェクトにイベントオブジェクトが格納されています。つまり、_count メソッドを Internet Explorer 専用に書き直すと、次のようになります。
ClickCounter.prototype._count = function() {
if (event.ctrlKey) {
this.times++;
}
}
しかし、Prototype.js の bindAsEventListener メソッドを使用すると、上記のようなブラウザ間の違いを吸収してくれます。つまり、Internet Explorer であっても、イベントリスナの引数にイベントオブジェクトが渡されるようになります。